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猛暑だった今年の夏もようやく終わりを告げ、遅い秋がやってきた9月の末、トイ・プ
ードルのCちゃんの飼い主のWさんが1.フィラリアの薬を取りにH動物病院へやって来た。Wさんは毎年春から数ヶ月の間はフィラリア薬をきちんとCちゃんに飲ませるのだが、10月ぐらいになると忘れてしまうのか、ぱたりと来院しなくなっていた。そのことに気付いた受付スタッフは、いつも忘れないように声を掛けていたようだが、効果はなかった。
実は秋ぐらいからフィラリア薬を止めてしまう飼い主さんは結構多い。K先生は2.その理由がなんとなくわかっていた。
Wさんが来院した時、3.ちょうどK先生は受付にいたので、チャンスとばかりに話を始めた。
「Wさん、フィラリアの薬は実はこれからが肝心なんですよ。」
「えっ、だって先生、もうだいぶ涼しくなってきたし、蚊もいなくなるわよ。」
(やはりそうか…。薬が続かない原因は的中したな。)
K先生はフィラリアと薬の関係を説明した。
フィラリアの薬は、よく“フィラリア予防薬”と呼ばれるので、間違えている飼い主さんも多いのだが、実際は“予防薬”ではなく、“駆虫薬”である。つまり、犬に飲ませていればフィラリアにかかるのを予防してくれる薬ではなく、仮にフィラリアの幼虫が犬の体内に入ってしまったとしても、やっつけるから大丈夫だぞという薬である。なので、一度飲ませるとずっと効いているのではなく、飲ませたその時だけ効果がある。要は一日しか薬効はないのだ。
そして、薬は血中で効くので、フィラリアの幼虫が血管の中にいないと無意味なのだが、蚊から犬の体内に入った幼虫は、最初は皮膚にいる。そして時間をかけて突き進み、ようやく血管の中に入るのは約1ヶ月~1ヶ月半後だ。つまり、フィラリア薬は1ヶ月ほど前に犬の体内に入った虫をやっつけるということになる。ということは、8月末に蚊に刺された時の為の薬は、10月に飲ませなくてはならないのだ。8月なんて蚊真っ盛りである。
説明を聞いたWさんは驚いた。
「えーっ、じゃあ私は毎年一番大事な時に薬を止めちゃってたのね!」
「そうですね。もう済んでしまったことなので、これから気を付ければいいんですよ。それにしても、4.Cちゃんがフィラリアに感染しなくてラッキーでしたね。」とK先生は言った。
こういう話は、春のフィラリア感染を調べる血液検査の時にきちんと説明しなくてはいけないものである。しかし、初めて犬を飼った人ならともかく、もう何年も来院している飼い主さんはわかっているものと、病院側も思ってしまうところがある。また、5.フィラリアの時期はとても忙しいので、スタッフもそこまで気が回らないというのもあるかもしれない。
玄関を出て行くWさんに、K先生は念を押した。
「
Wさん、これからが大事な時期ですからね〜。」
「わかったわ。忘れないようにカレンダーにでも印つけておくわね!」とWさんは元気に帰っていった。
POINT
1.健康で、ワクチンなどの予防の予定も当分ないというワンコは、普通病院へ来ません。なので、薬の為に飼い主さんだけでも来院してくださるというのは、色々お話が出来るので、いい機会です。ワンコの様子を何気なく聞いた時に、ちらっと飼い主さんが言った一言から、大きな病気が見つかったというケースもあります。動物病院が、病気の時だけでなく、もっと気軽に立ち寄れる場所になるといいですね(たいていのワンコは寄りたくないでしょうけど(苦笑))。
2.飲ませ始めはいいけれど、少し経つとフィラリアのことを忘れてしまう飼い主さんは多いようです。春は病院側もお知らせのハガキを出したり、飼い主さんも毎年のイベントとして認識されているので良いのですが、9~10月ぐらいから薬を止めてしまうケースがよくあります。まずは涼しくなってくると蚊をあまりみかけなくなるので、フィラリア感染のことを意識しなくなるということが原因として挙げられます。
次に喉元過ぎれば…ということで、単に時間の経過と共に忘れてしまうパターン。
他には、もう大丈夫だろうと飼い主さんが勝手に止めてしまうこともあります。しかし、本文中に書いたように、実は秋が肝心なのです。
ちなみに、H動物病院は関東にあるので、投薬期間は5〜12月ですが、沖縄などは一年中飲ませなくてはなりません。冬でも旅行などで暖かい地方へ行かれる方は、獣医師に相談して下さい。
3.受付は飼い主さんとお話をするのに、本当にうってつけの場所です。診察室だと緊張してうまく話が出来ない方でも、受付だと大丈夫ということも多々あります。もちろんシリアスで個人情報に関わるような内容の話は診察室でしかしませんが、世間話はやはり受付の方がいいですね。病院側も待合室の雰囲気は重要視して色々工夫してますから、オープンな感じがして話し易いんでしょうね。4.春~夏はきちんとフィラリア薬を飲ませていたのに、最後2ヶ月ほど忘れてしまったばかりに、フィラリアに感染してしまったワンコが実際います。もう不運としか言いようがないです。
また、きちんと飲ませていたにもかかわらず、春の血液検査で陽性になってしまった子がいました。その時は原因がよくわからなかったのですが、2年後にわかりました。それは、飼い主さんが引っ越すことになり、居間にあった大きな棚を動かした時のことです。なんと棚と壁の隙間に数個の薬が…。そう、飼い主さんはワンコがきちんと飲んだとばかりに思っていたのですが、ワンコは飲んだふりして棚の裏に吐き出していたのです。おかしい、でも笑えない実話です。
5.春はフィラリアの投薬前の血液検査や、狂犬病の予防接種が始まるので、動物病院は忙しくて戦場と化します。気を付けてはいても、どうしても一人の飼い主さんに割ける時間が短くなってしまいますし、ゆっくりお話が出来ないということも多々あります。突然の病気や予測していなかった出来事の場合は仕方ありませんが、それ以外で何か聞いておきたいとか、相談したいということがあれば、春は避けた方が懸命です。逆に2月ぐらいは時間に余裕がある病院が多いので、その時に相談されるのがいいと思います。- 【DOG】 その他 【CAT】 その他
- 2010.10.20 09:33
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