1. トップ
  2. >
  3. Anicli24医局コラム

いつか年老いる愛犬のために・・・ 第4回 認知症その2 編  獣医師 佐藤

前回は認知症とはどういうものか?また認知症の予防に関してお話しました。現在は高齢犬の介護に関する書籍もたくさん販売され、認知症や介護に関する情報が 沢山あります。しかしながら、それらは高齢犬に着目したものが多く、高齢犬を支える飼い主さんに着目したものは少ないように感じます。

そこで今回は、
「認知症を発症した高齢犬と、どのように向き合っていけばいいか」
に関してお話ししたいと思います。

高齢犬の介護では、飼い主さんが自分の中で問題を解決しようとして疲れてしまいがちです。ご近所から鳴き声で苦情が出ると、さらにその悩みは大きなものになります。また高齢犬の介護に対する理解が得られず、心無い人から中傷の言葉を受けることもあるようです。

でも、家族の一員のペットが高齢になって、私たちの支えを必要としているのですから何とかしてあげたいと思う気持ちは当然のことです。誹謗中傷を受けても周囲に迷惑をかけていないのであれば、自分が正しいと思ってやってあげていることなのですから気にする必要はありません。

では飼い主さんが認知症の高齢犬をお世話する際に頭に入れておいて欲しいことをご紹介したいと思います。

それは、周囲の人に相談するということです。前回もお話ししたように、高齢犬のお世話で一番大切なことは飼い主さんが明るい気持ちでお世話を続けることだからです。

では、相談相手は誰にすればいいのでしょうか?

相談相手としては「家族」「ご近所の方々」「動物病院」「ペットシッター」などが挙げられます。
では1つずつ詳しくお話ししていきましょう。

・家族

old-dog_000401.jpg
どうしても高齢犬のお世話は、奥様にまかせっきりになってしまいがちです。でも奥様も家事や子育てなど色々と忙しいものです。家事に加えて高齢犬のお世話も1人でするとなると負担は相当なものです。家族の一員である愛犬のお世話は家族みんなで行う必要があります。ご主人や子供たちにもお仕事や学校がお休みの日、職場や学校から帰宅後には積極的にお世話に参加してもらうよう、家族みんなで話し合ってください。

・ご近所の方々
高齢犬の鳴き声は甲高く単調で、朝・夜構わずに続く場合があります。これによって、ご近所とのトラブルになるケースが増えてきています。時には引っ越しさえ考えなければならない状況になり兼ねません。一般的に騒音は感覚によって感じ方が左右される「感覚公害」に該当するとされています。すなわち、同じボリュームの騒音でも、仲が良いお家の騒音は、それほど不快に感じないのに対して、仲の悪いお家やあまり知らないお家の騒音はより不快に感じることが多いと言われています。

そこで、ご近所の方に愛犬の認知症に関して積極的に話し相談することをお勧めします。飼い主さんの苦労や迷惑をかけないように気を使っていることを少しでも知っているだけで、周囲の感じ方は変わってくることでしょう。

 

・動物病院

old-dog_000403.jpg

動 物病院への高齢犬のお世話に関する問い合わせは年々増えています。中には安楽死の依頼をされる方もいらっしゃいます。認知症以外にも苦痛を伴う病気を持っ ている場合など、高齢犬の状態によっては安楽死を選択せざるを得ないケースもありますが、これは本当に最終手段であり安易に選択する方法ではありません。 また、動物病院で認知症など介護を要する高齢犬に関して短期間の預かりを実施している動物病院もありますので、お世話にどうしても疲れた時はこのようなサービスを利用し、獣医さんに色々と相談してみてください。

 

・ペットシッター

old-dog_000404.jpg

近年は高齢犬の介護を専門に行っているペットシッター会社もあるようです。他の施設に預けずに自宅にてお世話を行ってもらえるので少し息抜きしたい時に、このようなサービスを利用してみてはいかがでしょうか?また色々とアドバイスをもらえるかも知れませんよ。


しかし!
色々なサービスがあるとはいえ、やはり愛犬自身は飼い主さんと一緒にいる方が落ち着くでしょう。環境や接する人の変化は脳への刺激になるものの、変化が急激ではストレスや不安になり兼ねません。また大事な愛犬を人に預けるなんて嫌だ!と思われる方も多いのではないでしょうか?

でも現実として介護に疲れ、周囲へ相談する機会も持てず愛犬を手放してしまう例もあるのです。これは本当に悲しいことです。

人 は誰でも疲れ、全てを投げ出してしまいたいと思うこともあるでしょう。「介護」の期間が長くなればそのような時を度々経験するかも知れません。そんな時は 一度心を落ち着けて、これまでの愛犬と一緒に過ごした日々を思い出してみましょう。私たちが楽しい時はもちろん、悲しく辛い時も愛犬はいつもそばにいて寄 り添ってくれていたはずです。大切な愛犬が介護を要するようになり、苦しそうな姿を見ることは本当に辛いことだと思います。でも「介護」は愛犬と過ごす時 間を増やしてくれるものでもあります。「動物を飼い、ともに過ごす」ということは「その子の命が終わるまで、ともに一緒に過ごすこと」です。息抜きがした い時は上にご紹介したようなサービスを上手く利用しながら、家族の一員として共に時間を過ごしてきた愛犬に今度は私たちが寄り添ってあげましょう。

これは獣医師としてよりもむしろ、皆さんと同じ飼い主として自分が経験して感じ、同じように犬が大好きな飼い主さんにお伝えしたいと思ったことです。

今「介護」に直面している方も、これからに備えようとされている方にも、何か少しでも希望を持っていただけたなら嬉しく思います。

では次回はこのシリーズの最終回として高齢犬の介護方法やそのグッズに関してお話ししたいと思います。

【DOG】 高齢犬
2009.11.10 15:29
ワクチンって何故必要?  獣医師 佐藤 | TOP | よくある症状 第6回「涙・眼ヤニが多い」 獣医師 三宅
犬猫FAQ Anicli24医局コラム