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動物の体を知ろう!シリーズ 第1回 神経系 編  獣医師 佐藤

近年はMRIやCTを導入する動物病院も増えてきました。それに伴って今までははっきりと分からなかった脳の病気などが正しく診断される機会も増えてきました。

大切なペットが神経系の病気に侵されてしまい、病気の説明を受けた場合に正しく理解する為にも「神経系とは何か」を少しでも知っておく必要があります。

そこで今回は神経系に関して簡単にお話しましょう。「神経」と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?「刺激すると痛い」とか「自律神経失調症で体の調子が悪い」といったキーワードが浮かんでくるのではないでしょうか?

まず神経系を下のように分類してみました。

nerve_000101.jpg中枢というのは、司令センターのようなもので、集められた情報をもとに指令を出す、いわゆる「上司」のようなものです。

一方、末梢というのは「上司」からの指令を受けて実際に働く「部下」のようなものを指します。

このように中枢(上司)と末梢(部下)が連絡を取り合って情報を統合し、体のバランスを保っています。


では!中枢神経系である「脳」や「脊(せき)髄」についてまずお話しましょう。

下の図を見て下さい。
nerve_000102.jpg脳は図から分かるように、

「大脳」「小脳」「間脳」「中脳」「橋(きょう)」「延髄」からなり、延髄に続く脊髄を加えて中枢神経系が構成されています。


では中枢神経系である、これらの脳や脊髄はどんな働きをしているのでしょうか?
末梢(部下)からの情報を受け指示を出しているのですが、情報の種類によって担当している部分が「大脳」の場合もあれば「小脳」の場合もあります。
末梢(部下)からの情報は体のバランスを保つ上で大切なものですので、情報の受け渡しに間違いがあってはいけません。そこでこのように役割分担をしているのです。

・大脳
食欲、性欲、行動(怒りや悲しみなど)、様々な感覚(見る、嗅ぐetc)等をコントロールしています。

nerve_000103.jpgのサムネール画像


大脳に何らかの異常が生じると、これらのコントロールが不十分になってしまい、異常行動や抑うつ、発作などが起こってしまいます。




・小脳
平衡感覚運動機能をコントロールしています。

小脳に何らかの異常が生じると、これらのコントロールが不十分になり、「何かをしようとすると体か震えて上手く出来ない」「物との距離を上手く測れない」といった症状が見られます。


・間脳
間脳は視床と視床下部からなります。
体温調節怒り攻撃性の調節、体液量の調節などを行っています。

間脳に何らかの異常が起こると体温調節が出来なくなったり、異常行動が見られたりします。

・中脳
間脳と橋を結んでいる部分で、視覚や聴覚を伝える道が通っています。

・橋
小脳や大脳との大切な連絡路があります。

・延髄
呼吸の調節心臓や血管の働きの調節、食べ物を飲み込んだり、吐いたりといった行動の調節を行っています。

・脊髄
脊髄は背骨の中を通っています。背骨は、触ってみると分かるように首から尾にかけて存在し、脊髄も首から尾まで存在します。
この脊髄から末梢神経の1つである「脊髄神経」という神経が周辺の皮膚や筋肉へ分布していき、皮膚や筋肉の働きをコントロールしています。

では!
次に末梢神経系についてお話しましょう。
先ほどお話した様に末梢神経系は、中枢(上司)からの指令を受けて実際に働く「部下」の役割をはたします。

この末梢神経系には以下の3つが存在します。
1.脳神経

脳(中脳、橋、延髄)から出ています。
2.脊髄神経
せき髄から出ています。
3.自律神経
自分の意志と関係なく自律的に内臓機能の調節を行っている神経を言います。内臓の機能は、起きている時も眠っている時も常にコントロールが行われている必要があります。自律神経はそのような内臓の働きをいちいち指示を受けることなくコントロールしています。

ではこの3種類の末梢神経系(部下たち)はそれぞれどのような働きをしているのでしょうか?
簡単に1つずつお話しましょう!

1.脳神経

脳神経は全部で12対(合計24本)あります。この12種類の脳神経の働きとしては、

nerve_000104.jpgなどがあげられます。

2.脊髄神経

脊髄神経は先ほどお話したように脊髄から出る神経で、皮膚や筋肉へ分布し、その部位の働きを調節しています。
脊髄は首から尾まで存在することから分かるように細長いものです。そのため脊髄神経も、どの部分から出ているかによって調節する部分が異なります。
例えば、前足近くの脊髄から出た脊髄神経は前足周辺の筋肉の働きをコントロールしますし、後ろ足近くの脊髄からでた脊髄神経は後ろ足周辺の筋肉の働きをコントロールします。

実際にはもっと細かくどこの脊髄からでた脊髄神経が、どこへ分布しているか?そこでどのような働きをしているのか?が分かっています。

そのため動物病院では「後ろ足が上がらない」「足の甲の部分が地面に着いてしまう」などといった神経症状があるペットでは、その症状や様々な検査から大体どの部分の神経に異常があるのかを診断することが出来ます。

私たちが普段「運動神経」と呼ぶのは、体や内臓の筋肉の働きをコントロールする働きをもつ脳神経や脊髄神経のことを指しています。

3.自律神経

自律神経は更に「交感神経」と「副交感神経」に分けることが出来ます。


自 律神経失調症という言葉を聞いたことはありませんか?これは交感神経と副交感神経のバランスが乱れることによって起こるものです。自律神経は内臓の働きを 自律的に調節していると先ほどお話しましたが、では「交感神経」「副交感神経」は一体どのような調節を行っているのでしょうか?

簡単に説明すると下のようになります。

交感神経
内臓に対して促進的に働きます。一般的には動物が活発に活動している時に働く神経です。

nerve_000105.jpg働きとしては
・心拍数を上げる。
・瞳孔を開いて物を良く見ようとする。
・血圧を上げる。
・胃の運動を抑制し、消化吸収を抑える。
(活発に活動している時にはこういった後回しにしても良いような働きはあまり行いません


などがあります。

副交感神経
内臓に対して安定的に働きます。一般的には安心して落ち着いている時や眠っている時に働く神経です。

nerve_000106.jpg働きとしては、
・心拍数を下げたり、上がりすぎないようにする。
・瞳孔を小さくし、入る光を制限する。
・血圧を下げたり、上がりすぎないようにする。
・胃の運動を抑制し、消化・吸収を促す。


などがあります。




このように交感神経と副交感神経は相反する働きをし、体が異常に興奮したり、また体の機能が異常に低下したりしないようにコントロールしています。


nerve_000107.jpg
いかがでしたか?これで今回の「神経系」のお話はおしまいです。

少し難しい部分もあったかも知れませんが、神経系の病気に気付いたり、また神経系の病気の子と生活されている飼い主さんが病気のことを少しでも理解できるきっかけになれば幸いです。


でも!「足を引きずる」など神経疾患以外でも見られることもありますので、何か症状が見られましたらまずは動物病院を受診しましょう。


nerve_000108.jpg




では次回は「感覚器系」に関してお話します。

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