獣医師コラム

しつけ

しつけ

2010.01.20

トイレ以外での排泄

 


ワンちゃんには環境を清潔に保ちたいという本能があります。ですので、トイレのしつけはそれほど難しいことではありません。でも、実際にトイレを失敗してしまうこともよくあります。
そこで今回は、トイレを失敗してしまう原因として考えられるものとその対策についてお話したいと思います。

*原因*
「医学的疾患」
泌尿器、消化器、神経などに何らかの病気があると、ウンチ・おしっこをコントロールできないことがあります。
膀胱炎で頻尿になってトイレに間に合わなかったり、膀胱や肛門をコントロールしている神経が麻痺してしまうと自分のタイミングで排泄できなくなってしまいます。
トイレが一段高くなっていたりすると、関節を痛めている子や高齢犬では、トイレに行きたくても行けずにギリギリまで我慢して失敗してしまうというようなことも稀にあります。

「服従性排尿」
とくに
子犬はおしっこをすることによって、服従を示していることがあります。また興奮による失禁もみられます。これは子犬の神経コントロールが未熟なためにおこります。よくいう「うれしょん」はまさにこの分類です。

「マーキング」
女の子もマーキングのためにおしっこをひっかけることがあります。他のワンちゃんの匂いがしなくても、
新しい場所や新しいもの(購入したばかりの家具など)に自分の匂いをつけることもあります。

「不安によるもの」
動物病院や乗り慣れていない車の中など不安を感じる場所や、見知らぬ人の接近によって排泄することがあります。

「トイレトレーニング不足」
しつけ不足によるトイレの失敗です。子犬の頃にできていても、できるのが当たり前になって褒めてあげなくなると、しつけの効果が薄れてきてまた失敗しはじめることもあります。たまに褒めてあげましょう。

「気を引くため」
過去にトイレに失敗して飼い主さんが怒ったときに、「かまってもらえた!」と勘違いしてしまうと再び気をひこうとしておしっこやウンチをすることがあります。たまに、「嫌がらせでおしっこされた」なんて話を聞きますが、ワンちゃんに嫌がらせをするという感情はないといわれています。わざとおしっこをしたとしても、それは構ってもらえた経験などから誘発されていることなので、嫌がらせしてやろう!なんて思っていないですよ。

*対策*
医学的疾患が疑われる場合には、なるべく早く病院へ行きましょう。診察や検査の結果に応じて、治療が必要になってきます。

トイレを清潔に保ってあげてください。
しつけを始めるときには、トイレを覚えさせるために排泄物を少し残して匂いをつけておいたりしますよね。でも、汚れたトイレに入るのが嫌だから別の場所で排泄してしまうというワンちゃんも結構います。すでにトイレを覚えている場合には、常に清潔にしておいてあげましょう。

・トイレのしつけ不足が疑われる場合には、
子犬の頃のトレーニングを思いだして再しつけを試みて下さい。

・多頭飼いの場合には、他のワンちゃんへの対抗心からマーキングをすることがあります。これは特に男の子に多くみられる行為ですので、去勢手術を行うことでマーキング行為を軽減させられるかもしれません。

・ごはんに含まれている繊維の量などによってウンチの回数が増えることがあります。お散歩でしかウンチをしない子の場合には散歩の回数を増やしてあげることでトイレの失敗が解決することがあります。

・服従性排尿(うれしょん)の場合にはワンちゃんを興奮させないことが重要です。飼い主さんの帰宅時やお客さんが来たときなどはワンちゃんが落ち着くまで少し無視をするか、愛情表現を控えめにしてみると効果的です。

・年をとって足腰が弱くなってきたら、トイレの高さやベッドからの距離などを一度見直してあげましょう。

・トイレ以外の場所で排泄しそうになったら(床の匂いを嗅ぐ・ソワソワする・排泄の姿勢をとる等)、手を叩いて大きな音を出したりして、一度ワンちゃんの気を逸らしてから、すぐにトイレにつれていきましょう。


トイレ以外の場所でおしっこの跡やウンチを見つけたら思わず叱りたくもなりますよね。
それこそ排泄したところにワンちゃんの顔をもっていって叱るなんてことが良いしつけとされていた時代もありました。
実は時間がたってからの罰は効果がないばかりか、「おしっこやウンチが見つかると怒られる!」と思って、飼い主さんに見つからないようにベッドの下などで隠れて排泄するようになってしまいます。

叱りたい気持ちはぐっとこらえて、まずは匂いを残さないように掃除をしましょう。そのあと、失敗したその場所に食器をおいてご飯をあげるとトイレのイメージを遠ざけることができるので効果的です。