コラム
Column

「犬の股関節形成不全症」

2017年5月13日

今回は大型犬にもっとも多くみられる股関節形成不全についてです。

股関節形成不全とは、股関節の発育がうまくいかないため、
成長するにつれて股関節の変形や炎症が進行し股関節の緩みや脱臼・亜脱臼がおこる病気です。

股関節は骨盤にある寛骨臼(かんこつきゅう)というくぼみに、
大腿骨頭(後肢の骨の先端で、ボールのような球状をしています)がしっかりと入り込んでいる構造をしています。
股関節形成不全は、寛骨臼と大腿骨頭の成長がかみ合わないためおこります。

症状
・跛行:はこう(不自由な足どりであること)
・歩き始めに、こわばった歩様になる
・散歩の途中で座り込む
・走るのを嫌がる
・ジャンプをしなくなる
・階段の上りを嫌がる
・寝ていることが多く、寝ている状態から起き上がるのが困難
・頭を下向き加減にして歩く
・歩くときに腰が左右にゆれる
・横座りする
いずれも股関節形成不全により軟骨が損傷されることにより軟骨に変性を起こし、
股関節の骨(骨盤)と骨(大腿骨)がこすれ関節内に炎症を起こし痛みが生じるために取る行動です。
※ほとんど症状がない場合もあります。
傾向
大型犬に多発し、成長期より多く発症します。
多発する犬種(ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー、ジャーマン・シェパード、バーニーズ・マウンテンドッグ、ニューファンドランドなど)

多発犬種については症状がみられなくても、骨の形成が完成する1歳から2歳の間にレントゲン検査を受けることが薦められます。

 

要因
・70%が遺伝的要因
股関節形成不全の因子を持つ犬同士の交配を行なうことなどが原因となりますが、
発生の起因となる遺伝子が特定されているわけではありません。
・残り30%は環境要因
環境的な要因はカロリーの過剰摂取による肥満が大きな原因です。
肥満は足腰に大きな負担を与えるため、発症予防のためにも肥満にさせないことが重要です。
特に1歳までに太らせると関節の形成に大きな影響を与えるため注意が必要です。
診療方法について
診断
1. 立様・歩様検査

「モンロー・ウォーク 」
歩くときに腰を左右に振ります。後ろ足の歩幅が狭く、踏み込みが少ないです。

「うさぎ跳び 」
走るときに左右の後ろ足が同時にでます。(足先の間隔2cm~5cm)
後ろ足は歩幅が狭く、引きずるケースもあります。

「前肢と後肢の歩幅の違い」
前足に比べ後ろ足の足先の間隔が狭く、歩き出すときの歩幅も狭くなります。

「ボクシー・ヒップ」
腰が幅広く平たくなります。

「二足歩行試験」
両前足を持ち上げて二足起立させると、 股関節形成不全では痛みのため嫌がります。

2. 触診

「後ろ足に対する背側からの圧迫」
起立した犬の骨盤のあたりを手で押してみると、股関節形成不全であれば直ぐに座ります。

「左右の大腿周囲径の比較」
両手親指と人差し指で輪を作り測定。一般に悪いほうの足が細くなります。

「クランキング・ヒップ」
歩行時に大転子の上に手を当てるとコツコツと感じる。

「股関節曲げ伸ばしでの痛み」

3. レントゲン検査

4. その他:関節液検査、CT検査、MRI検査
治療
・内科的療法
体重制限(減量)、運動制限、お薬(消炎鎮痛剤、軟骨保護剤)
リハビリ:運動療法、理学療法(レーザー、温熱療法など)

・外科的治療法
切除関節形成手術、骨盤3点骨切り術、人工関節置換手術など