「猫の緑内障」 獣医師 三宅

眼球内には、眼房水という液体があります。
この液体は常に産生と流出を繰り返し、一定の量を保っています。
緑内障は、この眼房水が通常より多くなることで眼球の圧が上昇している状態のことで、視神経や網膜に変化を起こして視力を失う可能性がある疾患です。
眼房水が多くなってしまう原因としては、産生量の増加よりも、流出量の低下が一般的です。
流出量の低下は、遺伝的な素因により流出する場所に閉塞が起こったり、
ブドウ膜炎などの眼疾患から続発して起こったりすることが知られていますが、
猫ではほとんどが後者の長期にわたるブドウ膜炎からの続発として起こり、6歳以上の高齢猫でみられます。

症状
目が大きく見える、
目を痛そうにしばしばさせる、
充血している、など。
前述したブドウ膜炎から緑内障になることはとても多いのですが、
ブドウ膜炎は角膜に深く傷がついた状態から進行していくこともあるので、
角膜の潰瘍(角膜が白く濁っていたり、毛細血管が出来ている※)がある時も要注意です。
※目の表面である角膜には、通常血管は存在しませんが、傷が出来るとその傷を治そうと新しく血管が出現します。これを血管新生といいます。

診療
まずは眼球をよく観察し、緑内障の際に現れることが多い症状(結膜炎、角膜浮腫、散瞳、充血・うっ血など)が確認できないか注意深く診ます。
また、眼圧計を使い、正常値より眼圧が上昇していないか測定します。
眼の超音波検査などを行うこともあります。
治療の目的は視力低下や痛みの原因となっている眼圧を低下させることですので、眼圧を下げる目薬などを使用します。
細い注射針を眼球に刺し眼房水を1滴抜くような緊急措置がとられることや、入院が必要なこともあります。
また、外科処置が選択されることもあります。

予防
角膜の傷からブドウ膜炎になり緑内障を起こすこともありますので、眼の異変に気づいたらすぐに受診するようにしましょう。

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