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猫の感染症 猫伝染性腹膜炎(FIP) 獣医師 三宅2012年5月30日

2012年5月30日

 

このウイルス性疾患にはワクチンがありません。

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コロナウイルスというウイルスが原因なのですが、通常このウイルスは病原性が弱く、感染してもなにも症状がでない場合がほとんどです。
現に日本にいる猫ちゃんの多くは、一度はこのウイルスへの感染経験があるといわれています。こう聞くとあまり怖いウイルスではなさそうですね。

しかし、このウイルスの恐ろしいところは「突然変異」にあるのです。猫の体内で突然変異をおこしたコロナウイルスだけが、猫伝染性腹膜炎(FIP)という病気の原因ウイルスとなります。コロナウイルスに感染し突然変異が起こって実際に発症するのは、感染猫の10%に満たないといわれていますが、発症するとほぼ100%が死に至る、非常に致死率の高い病気です。3歳までの猫と10歳以上の猫での発症率が高くなっています。

*考えられる突然変異の原因*
残念ながら詳しいことはまだ解明されていませんが、ウイルス側の要因と感染した猫側の要因が関与していると言われています。猫 側の要因というのは免疫状態のことです。免疫は、ストレスや他のウイルス感染などによって変化します。バランスを崩した免疫はウイルスに対して過剰なアレ ルギー反応を起こし、それが発病につながっているのではないかと考えられています。ですので、いかに免疫系のバランスを崩させないかが重要となります。

*症状*
「ウエットタイプ」:体腔(体の空洞部分)を標的にするもの
腹膜炎を起こし、お腹に水(浸出液)がたまってふくれてくるのが特徴です。元気、食欲はなくなり、発熱を繰り返してぐったりすることもあります。胸に炎症が起こると、今度は胸に水がたまってしまうので肺が圧迫されて呼吸が苦しくなります。

「ドライタイプ」:臓器を標的にするもの
お腹や胸に水がたまったりはしません。腎臓や肝臓に硬いしこりができて、臓器の機能障害が進行します。脳に病変が起こると神経症状が出ますし、眼に炎症が起こって濁ってくる場合もあります。

どちらのタイプも徐々に進行していき、残念ながら助かる見込みは低いです。

*治療*
原因となるウイルスに効果をしめす治療は確立されていません。
インターフェロン(ウイルスの活性を弱め、猫の免疫を上げる)による治療がある程度期待できますが、多くは支持療法に頼らざるをえません。定期的にお腹や胸にたまった水を抜いたり、必要があれば点滴入院も検討します。全身的に典型的症状を示している場合には、ほとんどが死に至ります。

*予防*
猫が集団で生活している場所には、必ずといってよいほどコロナウイルスは蔓延しています。また、最初に述べたように現時点では有効なワクチンもありませんので、予防は非常に難しいです。(欧米ではコロナウイルスのワクチンが使用されていますがその有効性には疑問が残り、日本で発売される可能性は低いと思われます)母親からの免疫が無くなる57週齢のときに感染することが多いため、4週齢の離乳の時期に子猫達を大人の猫から離し、隔離すればコロナウイルスに感染したことのない子猫になるといわれています。こ の子猫を完全室内飼いで育てれば、この子は一生コロナウイルスに感染することはありません。ブリーダーさんにはこのようにしてコロナウイルスに感染経験の ない子猫を育てていただき、ウイルスの蔓延を減らす協力をしていただきたいと思います。しかし、その後ペットショップで他の猫と一緒になればまた感染の可 能性がありますので、コロナウイルスへの対策をしているブリーダーさんから直接子猫を譲ってもらうのがベストかもしれません。

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