獣医師が解説【犬の炎症性腸疾患(IBD)】嘔吐・下痢など代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は?

この記事を監修した獣医師

anicli24 院長

三宅 亜希みやけ あき

犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

わんちゃんの炎症性腸疾患 代表的な症状

犬の炎症性腸疾患(IBD)は、慢性腸症(CE)の一つです。慢性腸症とは、原因がはっきりせず、慢性的に(通常3週間以上)続く消化器症状を起こす消化器疾患の総称です。消化管が炎症を起こすことで、食欲低下、嘔吐、下痢、などの症状が見られます。
人の炎症性腸疾患としては、クローン病と潰瘍性大腸炎が存在します。

POINT

– 食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器症状が3週間以上続く

わんちゃんの炎症性腸疾患の原因は?

炎症性腸疾患(IBD)の原因ははっきりと分かっていませんが、遺伝的なもの、食べ物などの環境、腸内細菌の状態、自己免疫の反応などが複雑に関わることで発症すると考えられています。消化器症状を起こす疾患には感染性のものが多く存在しますが、炎症性腸疾患はうつるものではありません。
ジャーマン・シェパードは炎症性腸疾患の好発品種(その病気になりやすい品種)として報告があります。

POINT

– 遺伝、環境、食べ物、腸内細菌と自己免疫が関わっている

わんちゃんの炎症性腸疾患 受診の判断は?

炎症性腸疾患かどうかを飼い主さんがご自宅で判断するのはとても困難だと予想されます。毎日ではないけれど、食欲不振や嘔吐、下痢が見られることが多いなど、症状が気になるときには様子を見ずに受診することが重要です。

もし、たまに見られる嘔吐や下痢との違いがわからない、病院に連れていくほどの様子には思えない、など受診に迷われる場合は、アニクリ24の獣医さんに直接相談してみませんか。

Anicli24は24時間365日
いつでも相談できる電話動物病院です。

登録は約5分で完了。経験豊富な獣医師に、今すぐ電話で相談できます。

わんちゃんの炎症性腸疾患の検査・治療は?

検査

炎症性腸疾患は、他の胃腸の疾患や膵炎など、考えうる似た病気が全て否定されて初めて診断できる病気のため、診断までには時間がかかります。一般的には以下の検査を行います。

問診で飼い主さんから普段の様子、症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。
便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認します。
画像診断では、消化器(胃や腸)の炎症状況を確認したり、異物誤飲など他の原因がないかを確認したりします。
血液検査では、一般的な健康状態を確認し、血液中の電解質のバランスや、水分と赤血球の割合などを確認します。
内視鏡により消化菅粘膜の一部を採取して病理検査を行うこともあります。
診断的治療といって、実際に治療を進めながら症状の反応を確認し、病気を確定させていく流れになります。

治療

食事療法、抗生剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、ビタミン剤、整腸剤(腸内細菌叢の改善)などが治療に用いられます。
食事療法では、アレルギーを起こしにくいフード、未消化物が少なくなるフード、低脂肪のフードが選ばれます。低脂肪のフードについては、手作り食や市販のフードで見つけることができることもありますが、アレルギーを起こしにくいフード、未消化物が少なくなるフード、手作りや市販でそろえることは難しく、一般的には療法食が処方されます。
薬については、症状がひどい時期と落ち着いている時期で種類や量を変更させます。
通常、これらの治療に良く反応し、良化がみられますが、完全に投薬をやめることは難しく、ほとんどのケースではなんらかの治療を継続的に行う必要があります。
ちなみに、食事療法だけで良化する場合は、慢性腸症(CE)の一種の食物反応性腸症の診断になります。

わんちゃんの炎症性腸疾患 予防はできる?

原因がわかっていないため残念ながら有効な予防方法はありません。炎症性腸疾患の症状をうまくコントロールしていくための予防としては決められたフードを続けることがあげられます。

アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。

Anicli24は24時間365日
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