犬糸状虫症 獣医師 三宅

「フィラリア」という言葉を耳にしたことはありませんか?
病院に行くと「春になったらフィラリア予防をしましょう」と言われますよね。
このフィラリアというのはDirofilaria immitisという寄生虫のことです。
数十年前ではフィラリア寄生が原因で命を落としていたワンちゃんもたくさんいたようです。
室内飼いが主流の今では「フィラリアは過去の病気」と思われがちです。
確かに都心部ではほとんど見られなくなっていますが、全国でみてみると、1992年に31.1%だった平均寄生率が1999年には35.4%となり、僅かですが増加しています。
少し古い情報ですが、現状もさほど変化はないと思います。
これにはフィラリアの予防の仕方が不完全だったり、遠出するワンちゃんが増えてフィラリアが多い地域からもらってきてしまうなどの要因が考えられますが、はっきりとしたことはわかっていません。

一つ言えるのは予防をしっかり行う必要があるということです。
予防をするには犬糸状虫症とはいったいどんな病気なのかを知っておく必要がありますよね。
簡単にまとめてみましたので、是非参考にしていただきたいと思います。

*感染経路*
フィラリアは5段階の幼虫(ミクロフィラリア)の時期を迎えてはじめて成虫になります。
蚊の体内で幼虫1から幼虫3にまで成長し、吸血する際に犬の体内に幼虫3が入り、幼虫3~成虫へと成長していきます。寄生した幼虫3が成虫になる確率は40~90%ですので、成虫にならずに死んでいくものもいます。
成虫となったフィラリアは、赤ちゃん(幼虫1)を生みます。
この幼虫1を持った犬を蚊が吸血することにより、幼虫1は蚊の体内へ入り、再び幼虫3まで成長します。
このように幼虫1~3までを蚊の体内で、幼虫3~成虫までを犬の体内で過ごします。
興味深いことに、幼虫3になる前に犬の体内に寄生することはできません。

外で飼育されている犬は、室内飼いの犬に比べて4~5倍感染しやすいと言われています。

*症状*
心臓と肺をつないでいる肺動脈という血管に寄生するため、心臓の働きや肺に影響を及ぼします。
虫体や虫体の排泄物は犬にとっては異物なので、免疫反応が起きます。死んだ虫体が血管に詰まるとそこから先に血液が流れなくなってしまいます。病態の重症度は、感染した成虫数に依存し、感染してからの期間と感染した犬の生体反応に影響を受けます。

*治療*
(治療により、合併症やショックを起こすことがあります)
1.フィラリアの駆虫
薬を使った治療:成虫の駆虫・幼虫(ミクロフィラリア)の駆虫
外科治療:成虫を外科的に摘出
・薬を使う駆虫の場合でも入院が必要になることがあります・
1.肺の治療
1.心臓の治療

*予防*
月に1回のフィラリア予防薬の内服もしくは塗布で効果的に予防ができます。
予防期間は蚊がいる期間の約 6ヵ月間というのが昔の考え方でしたが、
現在では平均気温が14℃になれば予防が必要と考えられています。
この 14℃というのは蚊の体内でフィラリアの幼虫1が幼虫3に成長するのに必要な温度なのです。つまり犬への感染が可能になる温度ということですね。
これを考慮すると、昔の6ヵ月間という考えかたでは予防としては不完全だと言えます。

以下の犬種はフィラリア予防薬に対して感受性が高いため(MDR-1という遺伝子の変異による)薬用量に注意が必要です。
・コリー
・シェットランドシープドッグ
・オーストラリアンシェパード
・ジャーマンシェパード
・オールドイングリッシュシープドッグ
・ロングヘアードウィペット
また、これらのMIX犬も注意が必要です。

フィラリアについてわかっていただけましたか?
知識を深めていただき、予防につながれば嬉しく思います。

 

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