獣医師が解説【犬の口・鼻の病気】歯周病の代表的な症状、原因、治療法、受診の判断は?

この記事を監修した獣医師

anicli24 院長

三宅 亜希みやけ あき

犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

わんちゃんの歯周病 代表的な症状

犬の歯周病では、口臭、歯石、歯肉の腫れや赤み、歯肉の出血、歯肉の退縮、歯が抜ける、歯がぐらつく、痛みによる食欲低下、涎、くしゃみ、鼻水、顔(目の下や頬)の腫れや自壊などが生じます。
また、心臓・腎臓・肝臓などの臓器に影響を及ぼしたり、稀ですが、下顎の骨折が起こることもあります。

POINT

– 口臭、涎など口の中の症状以外くしゃみ鼻水、各臓器への影響など症状は多岐にわたる

わんちゃんの歯周病の原因は?

犬の歯周病の原因は、歯周病原細菌(歯周病を引き起こす口腔内細菌)であり、歯垢(プラーク)の中に多く存在します。そのため、歯垢を長く口の中に留めないことが重要になります。人では「プラークコントロール」という言葉を聞く機会が増えましたが、犬でも同じであり、口腔内の環境を清潔に保つことが大切です。
歯周病は高齢になってから起こるというイメージを持たれやすい疾患ですが、実は3歳以上の犬の約8割には歯周病があるという報告があるため、若くても安心はできません。

POINT

– 歯垢(プラーク)の中にいる歯周病原細菌
– 口腔内の環境を清潔に保つことが重要

わんちゃんの歯周病 受診の判断は?

歯肉が軽く腫れている程度であれば、歯肉炎を起こしているだけということもあるので、家庭でのデンタルケアを念入りに行うだけでも対応が可能かもしれません。歯石がついている、物が食べづらそう、歯が抜けた、という場合は受診が必要です。

もし、病院に連れていくほどの様子には思えない、病院に行くと体調が悪くなるのでなるべく避けたい、など受診に踏み切れない場合は、アニクリ24の獣医師に直接相談してみませんか。

Anicli24は24時間365日
いつでも相談できる電話動物病院です。

登録は約5分で完了。経験豊富な獣医師に、今すぐ電話で相談できます。

わんちゃんの歯周病の検査・治療は?

検査

犬の歯周病では一般的に以下の検査を行います。
問診で、飼い主さんから普段の様子、症状がある場合は症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞きます。
触診で、顔(特に目の下や頬)に腫れや痛みが確認できることもあります。
口腔内の検査では、見た目による歯肉の腫れ、歯垢や歯石の付着状態、歯の動揺の有無、歯周ポケットの深さなどを確認します。
歯科用レントゲン検査では、歯や歯槽骨(歯を支えている骨)の状態を詳細に確認することができるため、歯周病の重症度が分かります。
また、全身状態を確認するために血液検査を行うこともあります。

治療

歯周病の重症度により、治療法は変わりますが、すべて全身麻酔下で行われます。
– スケーリング:歯の表面の歯垢や歯石を除去します
– ルートプレーニング:歯垢や歯石で汚染されたセメントを歯の根から除去します
– ポリッシング:歯の表面に小さな傷があるとそこに歯垢がつきやすくなるため、研磨剤を付けて歯の表面をきれいに磨きます。
軽度の場合は上記の治療で終了、もしくは歯周ポケット内に薬剤を注入して終了となります。
中度~重度の場合は、歯周ポケット内の炎症している歯肉部分を取り除いたり、その際に歯肉を切開したり、抜歯や縫合を行ったりする必要がでてくるため、歯石除去というよりは口腔外科という領域になります。
治療後は、抗生剤などの内服薬が処方されます。
歯周病の重症度に関わらず、治療後の家庭でのデンタルケアを続けられない場合、すぐに再発します。

わんちゃんの歯周病 予防はできる?

予防には家庭でのデンタルケアが欠かせません。そうは言ってもいきなり歯磨きをするのは難しいため、まずは口周りを触る→褒める、というところから少しずつ始めましょう。また、歯周病により痛みが生じているときは口周りや歯を触れることに嫌なイメージを持ってしまうため、何も問題が生じていない若いうちから始めることが重要です。
どうしても歯磨きが難しい場合は、サプリメント、歯磨きガム、デンタルジェルなどを試してみるのもいいかもしれません。

アニクリ24では、病気の相談以外にも、なにか普段と違う異変を感じたとき、不安を感じたときは いつでも直接獣医師に相談することができます。

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