ペットとストレス  獣医師 三宅

最近、ペットの病気の要因に「ストレス」という言葉がよくでてきますよね。

病気予防のためにストレスを無くしましょうといわれても、

「ペットのストレスってなんだろう?」と、思われるかたも多いのではないでしょうか。

 

そこで今回はストレスについてお話したいと思います。

 

「ストレスとは物理学的・心理学的な要因に対する生理学的な体の反応のことである」

というのが定義になっています

 

ストレスにはその要因となるストレッサーが存在し、その機能により「ディストレス:人にとって不快で害悪のある悪いストレス」と「ユーストレス:快く害も少ない、成長や発達に必要なストレス」の二つに分けられます。

ストレスと聞くと悪いイメージが先立ちますが、もともとは体の反応のことを意味しているので、私たちに必要なものもあるのです。

 

*ストレス(体の反応)を引き起こす原因は、

「物理・科学的ストレッサー:寒冷、暑熱、騒音など」

「生理学的ストレッサー:絶食、飢餓、重労働、病気全般など」

「心理学的ストレッサー:緊張、不安、恐怖、興奮など」

の3つに分類できます。

 

 

ストレスに対して、仕事のストレス・人間関係のストレスというような「精神的な苦痛」というイメージを持っていると、「動物がそんなにストレスを感じているわけないだろう」、と思いがちかもしれません。

しかし、野生動物だって常にストレスとともに生活しているのです。

お腹が空いたのどが渇いた暑い寒い全力で敵から逃げる全力で獲物を追うなど、全てがストレスの原因となります。

 

極端にいえば、「リラックス状態の時以外では少なからずストレスが発生している」ということです。

 

*では具体的にワンちゃんや猫ちゃんはどんな時に強くストレスを受けるのでしょうか

「環境」

・引っ越しして環境が変わった 

・見知らぬ人が同居するようになった

・家の中に他の動物がやってきた

・自分の落ちつける場所が少ない

・工事や交通の騒音が急に激しくなった

・寒い、暑い

・体や寝床が汚れている

 

このようにストレス要因をさぐってみると環境の急激な変化を望まないことがわかります。

これはワンちゃん猫ちゃんに共通しますが、とくに猫ちゃんに強くみられる傾向がありますいつも飼い主さんと一緒ではなく、ワンちゃんも猫ちゃんも、一人でゆっくり休める場所をお家の中に用意してあげることが重要です。

「労働」
・出産

・子育て

出産は重労働ですし,また授乳も肉体的にきつい仕事です。

 

「病気全般」

・激しい下痢や嘔吐

・呼吸困難

・発熱

・その他、苦しみを伴う病気すべて

ストレスが病気の原因になり,また病気がストレスの原因になります。

 

「その他」

・飼い主さんのタバコ

癌の要因の一つともいわれています。

 

 

*ワンちゃん特有のストレス*

・日中ひとりぼっち

これは、組織に属することが安心につながるワンちゃんにはストレスですが、自由と自分の生活を大切に思う猫ちゃんにとってはストレスになりません。

猫ちゃんがさみしいだろうともう一匹猫を飼ったり、犬を一緒に飼うなどするとよけいストレスの原因になることもあります。

 

・飼い主さんの生活リズムの急な変化

ボスである飼い主がいつもいる時間に外出したり、出張などで家を長く空けたりすると、群れの一員であるワンちゃんは不安を覚えます。

 

・家庭内の不和

家族の不和はワンちゃんにとっては一大事です。不和は群れでの順位づけに影響を及ぼす可能性があるためワンちゃんは混乱します。また、飼い主のワンちゃんへの対応も気分次第になりがちで、ますますストレスを増幅させてしまいます。

夫婦喧嘩の翌日に下痢をするワンちゃんもいます。

 

・一緒にお出かけ

ワンちゃんのストレス発散のためドッグランにいかれるかたも多いと思います。確かに飼い主さんと一緒にいられますし、ノーリードで駆け回れてとても楽しいはずですよね。

でも、たくさんのワンちゃんがいたり、はじめての人にあったり、いろんな匂いがしたりと実はストレスも感じています。

また、移動もストレスになりますし、楽しくて興奮して遊びまわっている状態も実は体にとってはストレスなのです。

ですので、ドッグランに行った日にそのままドックカフェで外食するのも楽しいですが、早めに帰宅して食べ慣れたごはんをあげてゆっくり休ませてあげることも大切です。

遊びと休息のバランスが重要です。

 

ストレスについて少しわかっていただけたでしょうか?

 

ちょっとみただけでもストレスが全くない生活なんて無理ですよね。

また、適度な刺激は元気に生活していくために必要なものです。

 

あまり神経質にならず、なるべく余計なストレスをかけないように気をつける程度でちょうど良いと思います。

 

 

ちなみに酪農学園大学が高齢者を対象にした研究で、人は愛犬との散歩でストレスが緩和することがわかったそうです。

とてもリラックスした状態になり、心拍数や血圧が落ち着くみたいですよ。

 

また、ペットを飼っている人のほうが飼っていない人よりも、血圧や血液中の中性脂肪値などが低いことも報告されているようです。

ペットが私たちに安らぎを与えてくれていることが科学的にも証明されはじめているんですね。

 

お互いにリラックスし合える間柄になりたいですね

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