よくある症状 第7回「痩せてきた・水をたくさん飲む」 獣医師 三宅

 

実際に来院される理由としてよくある症状を紹介していきたいと思います。
ご自宅の猫ちゃんに同症状がみられた時に、参考にしてみて下さい。

考えられる原因
*腎臓の疾患*
猫ちゃんには腎臓の病気がとても多く、特に老齢では慢性腎不全が発症します。腎臓は血液からいらないものだけを取り出して、おしっことして体から排泄させてくれます。
しかし、腎臓がわるくなると、いらないものを取り出せないうえに、必要な水分やたんぱく質までもおしっこの中に出て行ってしまいます。
そうすると、体は脱水状態になり、お水をたくさん飲むようになりますし、栄養も失われて痩せてしまいますし食欲も落ちてきます。

*糖尿病*
糖尿病の要因は様々で、遺伝・体質・他疾患の併発などがあり、はっきりとした原因はさだかではありません。毎日の食事内容や、ストレス、肥満なども関係しているといわれています。糖尿病になると、血液中の過剰な糖分がおしっこから出ていきますが、その際に水分もひっぱられるようにして一緒に出て行ってしまいます。なので、尿量・飲水量ともに増えます。
また、血液中は糖分であふれていますが、細胞のなかには入ってこないため栄養にならず、次第に痩せていきます。また、食欲も落ちます。

*ホルモン疾患*
代謝が活発になりすぎて食べても痩せる、水をたくさん欲しがる、おしっこをどんどん作るなど

急に痩せるときの多くは脱水による水分の喪失によるものです

検査
*触診・視診*
脱水の状態を皮膚や粘膜などから観察します

*血液検査*
全身の健康状態、血糖値、脱水の様子、腎機能の評価、ホルモン疾患が疑われる時は検査センターにてホルモン値測定を行います

*尿検査*
尿中の糖分・タンパク質・ケトン体(糖尿病が進行しているとでてくる物質)などの有無や、尿の濃度などを調べます

腎不全が疑われる場合では腎臓の形態や構造をみるためにレントゲンや超音波も合わせておこなわれます。

腎不全も糖尿病も、病状が悪ければ入院が必要ですが、軽度であれば通院管理が十分に可能な疾患です。
早めに病気を発見することがとても重要です。

予防できること
腎不全は年齢とともに腎臓の機能が低下してくることから生じる病気なので、予防は難しいですが、やはり、栄養のバランスがとれた食事やストレスのない環境はどんな病気においても重要です。
糖尿病は遺伝や他疾患の関与など、原因は様々ですが、肥満体質の猫ちゃんがなりやすいともいわれていますので、太らせないことは大切です。
また、猫 ちゃんはもともと血糖値がとても上がりやすい動物ですので、ちょっとした興奮時などでも一過性の高血糖になってしまいます。通常はインスリンが出て自然に 正常値に戻りますが、高血糖の状態によく陥ったり、長く続いたりすると、インスリンを作っている膵臓が疲れてしまい、インスリンが足りなくなって糖尿病に なりやすくなる恐れもあります。ですので、のんびりとした毎日が過ごせると予防につながると思います。

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