よくある相談【犬の下痢 前編】獣医師が代表的な5つの原因について徹底解説

この記事を監修した獣医師

anicli24 院長

三宅 亜希みやけ あき

犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

よくある相談内容

子犬を迎えてから先住犬が下痢をしている

今年で7歳になるメス犬(避妊済み)を飼育しています。数日前に生後3ヵ月の子犬を迎えたのですが、その頃から便が軟らかくなり今日は下痢をしていました。食欲はあり、定期的に受けている健康診断でも特に異常はありません。もう少し様子をみていても大丈夫でしょうか。子犬がよくじゃれつくのでストレスでしょうか。たまに子犬のフードを横からを食べてしまうこともありますがそれも関係あるでしょうか。

獣医師からの回答

食欲があり、健康診断で問題もなく、下痢も続いているわけではなさそうですので、おっしゃるように子犬によるストレスや食べなれない子犬用フードが原因になることもありえます。まずは、子犬は別室で過ごさせるなど、先住犬が今までどおりゆっくり休める環境を作ってあげてください。また、子犬のフードを食べることもないよう気を付け、普段のフードも少し減らしてお腹を休ませてみてください。便の状態が落ち着いてくるようでしたら、一過性の下痢として判断されてもいいと思います。

もし、工夫をしてみても便の状態がよくならない場合は受診を検討してください。一過性の下痢だったとしても下痢止めや整腸剤などで早く抑えてあげたほうが本人も楽だと思います。また、本日中に軟便から水様性の下痢になったり、血が混じったり、便の回数が増えたりするようでしたら様子を見ずにすぐに受診されることをおすすめします。

ワンちゃんが下痢になる原因

犬が下痢を起こす原因は多岐にわたりますが、一過性で軽度の下痢の場合、食事の変更や食べすぎ、おやつが合わなかったなど、深刻な病気ではないケースがほとんどです。一方で、病気による下痢も起こりえますので、犬の下痢の原因として押さえておきたい5つの原因を紹介したいと思います。ご自宅の犬に同症状がみられた時に、参考にしてみて下さい。
1. 食事が原因となる場合
2. 病原体が原因となる腸の病気
3. 病原体以外が原因となる腸の病気
4. 腸以外の病気や事故が原因となる場合
5. ストレスなど一過性の場合

食事が原因となる場合

食べ慣れていないものを食べた/普段のフードを食べすぎた

特別な日にいつもと違うご飯を食べたり、フードの食べが悪くなりフードを変更したりしたときに見られる下痢は、食べなれないものを食べたことにより消化が追いつかなかったことが原因かもしれません。

また、普段から食べているフードやおやつも、食べすぎることで下痢を起こすことがあります。

上記の原因が疑われるときは、フードやおやつの量や種類をみなおし、必要に応じておなかを休めるために食事を1回分抜くなどの対策をおこないます。ちなみに生後数か月の子犬の場合は、食事を抜くと低血糖を起こす恐れがあるため容易におこなわないようにしましょう。

食物アレルギー

ある特定の食べ物がアレルゲンとなっていることがあります。犬の食物アレルギーの主症状は痒みや脱毛など皮膚におこりますが、下痢の症状が出ることもあります。

アレルギーが疑われる場合は、アレルギー除去食を食べ症状がおさまるかどうかを確認します。症状がおさまったあとに普通食に戻し、再度同じ症状が出た場合、食物アレルギーであると診断されます。血液検査でアレルゲンを調べることもできます。

食物アレルギーと診断されたあとは、アレルギー除去食をずっと食べてもらうことになります。

病原体が原因となる腸の病気

細菌

クロストリジウム、カンピロバクター、サルモネラなどの細菌が原因となって嘔吐や下痢を引き起こします。サルモネラ菌は生肉を食べることなどで感染することが知られています。細菌性の腸炎は一般的に抗生剤や整腸剤で治療します。

ウイルス

犬パルボウイルスや犬コロナウイルスなどが原因となって下痢を引き起こします。どちらも重症化しやすく感染力も高いですが、犬パルボウイルスはワクチンで予防ができます。ウイルス性腸炎は一般的に輸液療法や細菌の二次感染を防ぐための抗生物質などで治療します。早期に治療を行うことが重要です。

寄生虫

犬回虫、犬小回虫、犬鉤虫、犬条虫、瓜実条虫、マンソン裂頭条虫、コクシジウム、ジアルジア、トリコモナスなどの寄生虫が原因となって下痢を引き起こすことがあります。寄生虫感染は、感染した犬の便を口にする、感染した母親から胎盤や母乳を介してうつる、感染したノミなどを飲み込む、など、寄生虫の種類によって様々です。寄生虫性腸炎は一般的に寄生虫駆除剤によって治療します。

病原体以外が原因となる腸の病気

炎症性腸炎(IBD)

はっきりした原因を特定できない慢性の腸炎です。人の炎症性腸炎(IBD)と同じように、免疫が関与していると考えられます。他の考えうる似た病気が全て否定されて初めて診断できる病気のため、診断をするのは難しいことがあります。炎症性腸炎は一般的に食事療法、抗生剤、抗炎症剤、免疫抑制剤などで治療します。

消化管腫瘍

腸にできる腫瘍としては腺癌、リンパ腫などが多く、良性のものとしては、炎症性のポリープなどができる場合もあります。ミニチュア・ダックスフンドでは大腸に炎症性ポリープができやすいという報告もあります。これらの腫瘍により下痢を起こすことがあります。リンパ腫は一般的に化学療法が選択されます。腺癌を含むそれ以外の腫瘍では第一選択は外科切除です。

治療で使用している薬の特性により、下痢を起こすことがあります。便秘の時に使用する下剤で便の水分量が増えすぎて下痢をする、抗生剤・抗がん剤・抗炎症剤などにより腸内に炎症が起こり下痢をする、というものがここに含まれます。薬による下痢がみられたときはできるだけ休薬することが推奨されます。

腸以外の病気や事故が原因となる場合

膵炎

膵臓に炎症が起こる疾患で、腹痛などの症状とともに下痢を起こすことがあります。急性膵炎と慢性膵炎があります。急性膵炎では早期の入院治療が重要となります。輸液や抗炎症剤などの薬で治療します。急性膵炎はミニチュア・シュナウザーやヨークシャー・テリアなどで起こりやすいとの報告があります。

膵外分泌不全

膵臓では消化酵素が作られ十二指腸へと分泌されますが、それが正常に行えないことを膵外分泌不全といい、症状として下痢を起こすことがあります。膵外分泌不全は慢性膵炎から併発することが一般的です。膵外分泌不全は消化酵素、抗生剤、ビタミン剤などで治療します。

異物誤飲

おもちゃやひもを飲み込んだり、腐ったものを食べたり、自然毒や薬品などの誤飲により下痢を起こすことがあります。飲み込んだものにより治療法は異なります。消化しない異物の場合は内視鏡や外科手術により取り除きます。

ストレスなど一過性の場合

犬は環境の変化や家族構成の変化などによりストレスを受ける傾向があります。具体的には、旅行に連れて行った、ペットホテルに預けた、引っ越しをした、家族が増えた、他の動物が増えた、周囲で大きな工事の音がしている、などが挙げられます。思い当たるものがあり、それが取り除ける(犬から遠ざけられる)場合、はなるべくストレスの原因を取り除いてあげましょう。

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