電話どうぶつ病院 Anicli24 コラム

3 認知症 前編 獣医師 佐藤2011年3月1日

2011年3月1日

人間も高齢化社会が進み、お年寄りの介護問題が世間を騒がせています。一方でペットも高齢化が進み、高齢犬介護や認知症を発症した高齢犬のお世話に関して、色々と問題が発生しています。

 

今まで家族の一員として過ごしてきたペットとの最後が、辛い介護の思い出ではなく、楽しい思い出で終わるように、今回は認知症に関してお話したいと思います。

 

では、認知症とはどういった病気なのでしょうか?

認知症はいわゆる痴呆症のことで、原因としては

・脳の細胞が老化によって衰えた

・自律神経機能が低下した

・脳が委縮した

などが考えられていますが、まだはっきりした事は分かっていません。そのため、治療といっても発生している症状を緩和させるような方法しかなく、根本的に治すことは出来ません。そして、緩和治療には飼い主さんの認知症という病気への理解と協力が必要不可欠です。

 

認知症の症状には、

・以前よりもよく食べるのに、太らない・下痢をしない。

・とにかく食べ続ける。

・昼間はずっとぼんやり寝ていて、夜になると起きてくる。(昼夜逆転の生活)

・昼間起こしても、すぐに寝てしまう。

・狭い場所にやたらと入りたがる。そして、バックして出てこられない。

・グルグルとしっぽを追うようにゆっくり回転し続ける。

・鳴き声が単調で、一定のリズムで鳴き続ける。(抑揚のない声)

・吠えていることを叱っても聞かない。

・吠える時間帯が大体同じ。(夜中、明け方に吠えることが多いようです)

・人間や他の動物に対する反応が鈍い、もしくは反応がない。

・以前まで出来ていたことが出来なくなる。(“お座り”や“待て”が出来なくなったetc…)

などがあります。

 

どうですか?当てはまるものはありませんでしたか?

 

 

このような行動は、突然見られるものではなく、徐々に見られてくるのです

が、ただのわがままと勘違いして、叱り飛ばしている飼い主さんもいらっしゃるようです。動物は自分で“調子の悪さ”を説明することは出来ません。このような誤った対応で、大切な愛犬の発しているサインを見逃すのは大変悲しいことです。

 

ただのわがままとは違った特徴(赤字で示している所に注目!)があるはずなので、それを見逃さないであげましょう!

 

 

では、認知症を防ぐ手立てはないのでしょうか?

 

認知症は先ほどお話しした様に原因が明らかになっていない病気です。そのため完全に予防できる病気ではありません。しかし、発症を遅らせたり、進行を遅らせる効果があると言われている方法がいくつか存在します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

認知症予防方法について、まとめましたのでご覧下さい。
【普段のお世話】
○話しかける
脳や気持に刺激を与える。

○触る
脳に刺激を与える。安心感を与える。
→特に目の悪くなっている子では飼い主さんの匂いや感触を感じることで安心できます。

○散歩コースを少し変える
風景や香りが変化し、脳への刺激になります。

○若く元気な犬と遊ばせる
一緒に遊ぶことや、先輩として、しつけをする事で、心と体への刺激になります。

○飼い主さんが明るくなる
飼い主さんが明るく元気だと、ペットの気持ちも明るくなります。

 

【食べ物】

○DHA(ドコサ・ヘキサエン酸) ・○EPA(エイコ・サペンタエン酸)
イワシ、サンマ、マグロ、カツオなどの青魚に多い。
血液をサラサラにし、脳の働きを維持する。
○ビタミンB1・C
B1:脳の精神安定
C :免疫力を高める。

○レシチン
脳の重要な栄養素になる。
脂肪の代謝促進

○アラキドン酸
脳の老化を防ぎ、脳の働きをサポートする。

○コエンザイムQ10
疲労回復、免疫力向上、心肺機能の向上

○抗酸化作用物質(カテキン・ポリフェノールetc)
抗酸化作用を示す。
ストレスを緩和したりガン・老化の予防になる。

○ロイヤルゼリー
アミノ酸が豊富で、老化防止・免疫向上に役立つ。

○人参養栄湯
免疫力を高める。
認知症に効果が高いことが報告されている。

 

 

この中で1番大切なのが、飼い主さん自身の元気です。大切な愛犬が認知症を発症し、今まで通りの生活が送れなくなってくると、飼い主さんも悲しく、またお世話に疲れて、気持が沈んでしまうことがあります。でも、ペットは飼い主さんの気持ちをとても敏感に感じ取ります。自分のせいで、大好きな飼い主さんの元気がなくなっていると思うと、愛犬自身もさらに元気がなくなってきてしまうことが多々あります。

 

 

そうは言っても、高齢犬のお世話は、精神的にも肉体的にも大変なことが多々あります。特に認知症が進行して、「吠え続ける」「寝たきりになる」といった症状が出てくると、お世話は更に大変になるでしょう。

 

高齢犬によってもたらされる悩みには、

・歩行が難しくなったり、寝たきりになった際のお世話

・オシッコやウンチを我慢できず漏らしてしまうことで、体が汚れやすくなる

・いつまでも吠え続けることによって、ご近所とのトラブルが発生する

・飼い主さんが、ご近所に気を遣いすぎたり、愛犬のお世話で疲れてしまう

などが挙げられます。

 

では、このような問題が発生した際にはどうすれば良いのでしょうか?

 

歩行困難や寝たきりに関しては、それらの症状に応じた介護が必要です。(介護方法に関して、詳しくはこれ以降のコラムでお話することにします。)

 

高齢犬自身が、分離不安になったり、精神的に混乱するケースでは動物病院で、それらの症状を緩和するサプリメントやお薬を処方してもらう必要があります。

 

高齢犬のお世話で一番大切なことは、飼い主さんが明るく元気にお世話をすることです。そしてその為には、周りの人に協力を求めたり、相談をすることが大切です。 なによりも、愛犬は私たち飼い主が悲しい時もいつも側にいてくれたはずです。その感謝の気持ちをこめて今度は私たちが愛犬に寄り添ってあげましょう。

 

 

では、次回は認知症を発症した老犬の飼い主さんが、どのように高齢犬に向き合っていけばいいのかについてお話しますね。

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