よくある相談【犬の嘔吐 後編】獣医師が対処法、受診の判断、検査・治療について徹底解説

この記事を監修した獣医師

anicli24 院長

三宅 亜希みやけ あき

犬・ネコの病気、予防医療、しつけ、ペットに関する気になることを専門の獣医師に電話相談できる電話動物病院「アニクリ24」の院長。日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。

ワンちゃんの嘔吐 自宅でできる対処法は?

嘔吐の状態をチェック

嘔吐の形状、匂い、色、異物が混ざっていないか、嘔吐回数、などを確かめます。

嘔吐の形状

食後では食べたものが未消化~消化された状態で嘔吐物としてでてきます。通常は食後3時間程度で胃の内容物は腸へ移動していくため、食後から何時間も経過しているのに食べたものを嘔吐するようなケースでは胃腸の運動が正常ではなくなっていることが考えられます。一方でお腹が空っぽのときは胃酸など液体だけが嘔吐物としてでてきます。吐いたものが液体だけの場合は、空腹時の胃酸過多による一過性の嘔吐かもしれません。

匂い

腸に通過障害あり嘔吐を繰り返していると、腸の内容物までが逆流して嘔吐として排出されるため、嘔吐物から便臭がすることがあります。

食道~胃で出血が起こると嘔吐物内に鮮やかな赤やピンク色が見えます。特に胃酸など液体だけ嘔吐したときに確認しやすいです。通常の胃酸は白~黄色で透明な泡状の液体です。

異物が混ざっていないか

異物誤飲などが原因で嘔吐をしている場合は、異物を吐き出すこともあります。誤飲したものすべてを吐き出すこともあれば、一部だけのこともあります。残りは腸へ流れたり胃内に残ったりしています。また、毛づくろいで飲み込んだ毛が毛玉として吐き出されることもあります。

嘔吐回数

食後の嘔吐も、食前の胃酸嘔吐も、一度だけであとは吐き気がないようでしたら一過性のものとして少し様子をみてもいいかもしれませんが、5回、10回と何度も繰り返すときは注意が必要です。胃腸炎や異物誤飲などのおそれがあります。

尿をチェック

嘔吐をしていると脱水を起こさないかと心配になりますが、そんなときは尿もチェックしてみます。尿の回数が少ない、1回量が少ない、尿の色がいつもよりも濃い、という場合は身体の水分が足りない状態かもしれません。

食欲をチェック

嘔吐をしているときに食欲も落ちていたり、下痢もしていたりする場合は注意が必要です。逆に、嘔吐をした直後にすぐに食事を食べたがったり、吐いたものを食べたりする場合、健康上はやや安心できますが、たくさん食べさせてしまうと再度嘔吐を引き起こすおそれがあるため、念のために少量与えて再度吐き気が起こらないかを数時間確認しましょう。(子犬や糖尿病でインスリン投与している犬では食事量を減らしたり絶食させたりすると低血糖症を起こすおそれがあるため安易におこなわないようにします)

元気や落ち着きをチェック

いつも通りの元気があったり、もしくはリラックスして休んでいたりする場合はさほど辛い状態ではないことが多いです。落ち着かなくウロウロしたり、通常と違う姿勢で身体を休めているときは悪心や腹部の痛みがあるかもしれません。

ワンちゃんの嘔吐 受診の判断は?

人が消化不良などで吐き気が起こることがあるのとおなじように、犬も一過性の嘔吐の場合、食事の変更や食べすぎ、おやつが合わなかった、お腹が空きすぎたなど、深刻な病気ではないケースがほとんどです。嘔吐を繰り返すことなく、食欲元気もあり、他に気になる症状がないようでしたら少し自宅で様子をみてもいいと思います。ですが、少しでも心配になる様子や気になる様子がみられる場合は万が一のことを考えて受診したほうが安心です。

受診判断のポイント

  • 元気食欲がない
  • 下痢など他の症状もおきている
  • 嘔吐を繰り返す
  • 尿の量が少なく色が濃い
  • 食事の変更や与えすぎ、食事時間が空いてしまった、など思い当たることがない

判断に迷ったら獣医師へ相談を

  • 胃液を嘔吐したが食欲がありそう
  • 食欲はなさそうだが元気
  • 昨日まで嘔吐をしていたが今日は少しよくなっている
  • 食事を抜いて様子をみたいが完全に絶食させて大丈夫か

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ワンちゃんの嘔吐 動物病院での検査・治療・費用は?

病院での検査は疑われる嘔吐の原因によって異なりますが、問診・触診・聴診はどのような場合でも行われます。嘔吐とともに下痢をしている場合は便検査も行うためなるべく便を持参しましょう。

検査

嘔吐を起こす病気は非常にたくさんあるため、場合によっては多くの検査が必要になることもありますが、一般的には以下の検査を行います。

問診で飼い主さんから普段の様子、症状が始まったタイミング、飲んでいる薬、予防歴、食事、などについて詳しく話を聞き、触診や聴診で腹部の状態や腸の運動を確認します。
画像診断では、消化器(胃や腸)の炎症状況を確認したり、異物誤飲、腫瘍などがないかを確認したりします。 血液検査では、一般的な健康状態を確認し、血液中の電解質のバランスや、脱水の有無、炎症反応などを確認します。
下痢もしている場合は、便検査で寄生虫や寄生虫の卵の有無、細菌の状態を確認します。

治療

嘔吐の治療は、嘔吐の原因によって大きく異なります。病気の可能性が低く一過性の嘔吐であると判断された際は、通常吐き気止めが処方されます。

費用

費用は検査内容、治療内容によって大きく異なるほか、動物病院は自由診療のため各病院によっても異なります。
日本獣医師会が全国の病院向けに行った診療料金についてのアンケートによる診療料金の中央値(データの真ん中の数値。平均値に比べて極端に大きい(小さい)数値の影響を受けにくい数値)を、以下に記載するので参考にしてください。

  • 初診料:1,386円
  • 再診料:726円
  • 血液検査:7,216円(採血料、CBC検査料、生化学検査料の中央値の合計)
  • レントゲン検査:3,931円
  • 腹部超音波検査:3,204円
  • 便検査:1,634円(下痢があった場合。直接法、集卵法の中央値の合計)

血液検査で検査する項目の種類、レントゲンの枚数、超音波で確認する場所の範囲などにより料金は変わってきます。

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